和菓子の代表格であるとらやのようかんは、アクセスの良い大型百貨店の店舗で見かけることが多く、私のギフト選びの定番です。
多くの人がとらやと聞くとようかんを思い浮かべますが、中にはどら焼きを思い出す人もいます。
このように意見が分かれるのは、「とらや」と「虎屋」という似たような名前の異なる二つの店が存在するからです。
これらの店舗は名前が似ているものの、全く異なる企業です。
このため、名前の類似から混同されることが多いです。
この記事では、とらやと虎屋について、それぞれの創業の歴史、本店の場所、そして主要な商品に焦点を当てて詳しく説明します。
とらやと虎屋の違いについて
とらやは「株式会社虎屋」として知られ、主にようかんを取り扱っています。
一方、漢字で「虎屋」と表記される店舗は「株式会社虎屋本舗」と呼ばれ、特に広島県を中心に西日本で展開していますが、この地域外ではあまり知名度がありません。
二つの企業は名前に「虎屋」という文字を共有していますが、直接的な関連はありません。
さらに、三重県には「虎屋ういろ」という名前の別の企業もあり、こちらは生ういろうを販売しています。
百貨店でこれら三つの店舗が一緒にあることは少ないですが、誰かが「とらやのお菓子を買ってきて」と頼んだときには、どのとらやを指しているのかをしっかり確認する必要があります。
とらやの創業と本店移転の歴史
本店:東京・赤坂
室町時代の終わりに京都で創業したとらやは、古くから和菓子を製造してきた歴史ある企業です。
1586年には天皇へのお菓子供給者として認められていました。
また、1635年には「院御所様行幸之御菓子通」と記された注文書が残っており、羊羹や落雁のほか、「あるへいたう」という珍しいお菓子も記載されています。
この「あるへいたう」が有平糖であることが後に明らかになりました。有平糖は、砂糖を煮詰めて作る飴の一種です。
1868年の東京奠都に伴い、とらやの本店は京都から東京の赤坂に移転しました。
これは日本の首都が京都から東京へと移されたことに対応するためです。天皇への供給を続けるために、東京にも拠点を設けることになりました。
現在、とらやは東京だけでなく、日本全国やフランスにも店舗を拡大しています。
フランスでの店舗は1980年に開設され、その当時は和菓子がまだ世界的に認知されていない時期でした。
フランスでの和菓子販売は「和菓子を通じて日本文化を伝えたい」という願いに基づいて始まり、現在も多くのフランス人に親しまれています。
虎屋本舗:創業から今に至る歴史と本店の概要
本店:広島県福山市、曙店
虎屋本舗の主な店舗である曙店は広島県福山市にあり、その古風な建築が多くの観光客を魅了しています。
夏には店舗主催の地元祭りが開催され、地域の中核となる場所です。
この老舗お菓子屋は1620年に創業され、最初は海運業と染物業を兵庫県で営んでいました。
お菓子製造に転じたのは、初代福山藩主からの特別な命令を受けて重要な任務を遂行した後です。
その成功により福山に移住し、得た土地でお菓子製造を始めたのです。
創業家が福山に持つ強い愛着は、現在の虎屋本舗の運営にも生きており、福山市内に8店舗を含む複数の直営店を展開しています。
多くの地元住民が顧客であり、日常的なお菓子の供給源として親しまれています。
とらや、虎屋、そして虎屋ういろの魅力的な商品を紹介
各店が提供する特徴ある個性的なお菓子を試してみませんか?
とらやの代表作:羊羹
とらやの象徴的な商品である羊羹は、日常のおやつから特別なギフトまで、幅広く選ばれています。
また、最近ではピエールエルメやルーヴル美術館とのコラボレーションによる羊羹が話題となり、伝統的な和菓子に新しい息吹をもたらしています。
虎屋本舗の特色あるスイーツ「虎焼」
虎屋本舗の代表商品である「虎焼」は、トラの模様が特徴的などら焼きです。
このどら焼きは特殊な紙を使用して鉄板で焼かれるため、特にふわふわした食感が魅力です。
また、虎屋本舗は見た目が本物そっくりのスイーツも展開しており、その高いクオリティには驚かされます。
たこ焼きを模したシュークリームや、コロッケに見えるレアチーズケーキなど、見た目だけでなく味の評価も高く、リピーターが後を絶ちません。
虎屋ういろの多彩なフレーバー
虎屋ういろは、ういろうを主力商品としています。
定番のあんこ味も美味しいですが、季節やイベントに合わせて販売される期間限定のういろうも人気があります。
みかんペーストや果汁を使った甘酸っぱいフレーバー、ナッツやチョコレートを組み合わせた洋風のういろうもあり、新しい食感と味わいを提供しています。
とらやと虎屋、異なる二つの企業
とらやと虎屋は同じ和菓子業界に属しながらも、それぞれ異なる会社であることが明らかです。
創業時期や地が異なるなど、背景には多くの違いがありますが、和菓子の魅力を広めるという共通の目的を持っています。
それぞれの店舗で代表される商品があり、食べ比べてみると各々の特色を楽しむことができます。