【空也上人の仏像】口から6体の仏が現れる理由と、その像を見ることができる場所 | 便利な情報マガジン
PR

【空也上人の仏像】口から6体の仏が現れる理由と、その像を見ることができる場所

雑学
スポンサーリンク

空也上人の像を初めて見たとき、彼の口から何かが出ているのに気づいて驚いたことはありませんか?

その現象は、実は彼の口から出ている6体の仏像によるものです。

この記事では、空也上人の口からなぜ仏像が現れるのか、その理由を探ります。

また、このユニークな像がどこで観ることができるのかも紹介します。

スポンサーリンク

空也上人の彫像について

この像は「くうやしょうにんぞう」と読まれ、「空也上人立像」と正式に呼ばれています。

この作品は鎌倉時代の著名な仏師、運慶の四男、康勝によって制作されました。

運慶は奈良市にある東大寺南大門の金剛力士像の制作者としても知られています。

空也上人の像は、彼が「南無阿弥陀仏」と唱えながら人々に念仏を広めた様子を表現しています。

この像は高さ117.6センチメートルで、草履を履いて力強く地面を踏みしめています。

彼の胸には金属製の打楽器、鉦鼓を下げ、右手にはその鉦鼓を打つための撞木を持っています。

左手には鹿の角がついた鹿杖を持ち、腰には鹿の皮を巻いています。

これらは彼が愛した鹿に由来するもので、その鹿は平定盛によって射殺されたそうです。

この出来事に心を痛めた空也上人は、その鹿の角を杖の頭に取り付け、その皮で衣を作り念仏を唱え続けました。

この話を聞いた平定盛は自らの行いを後悔し、後に空也の弟子となったとされています。

平安時代の僧侶、空也上人とその教え

空也上人(903年頃〜972年)は、平安時代中期に活躍した僧侶で、「阿弥陀聖」「市上人」「市聖」とも称されることがあります。

彼についての記録は少ないものの、一説には醍醐天皇(第60代天皇、在位885年~930年)の子とされることもありますが、詳細は不明です。

若い頃から仏教に打ち込んだ空也上人は、922年頃に尾張国(現在の愛知県)で出家し、「空也」という僧名を取りました。

空也上人は、「南無阿弥陀仏」と唱える念仏を広め、その教えによれば、すべての人が阿弥陀如来によって救われ、極楽浄土へ至ることができると説きました。

この教えにより、彼は浄土宗や浄土信仰の開祖とされています。

「南無阿弥陀仏」とは、阿弥陀如来の教えに深く帰依し、その教えに従うという強い意志を表す言葉です。

当時の苦しい生活を送る庶民にとって、この教えは精神的な支えとなり、多くの人々に希望を与えました。

京都で疫病が流行した際、空也上人は死者の霊を慰め、疫病を退散させるために「空也踊躍念仏」という踊り念仏を行いました。

この踊り念仏は、死者を供養し、生きている人々が極楽浄土へ至ることを目指すものでした。

空也上人の影響で念仏の信者が増加した結果、鎌倉時代に幕府は念仏の拡散を恐れて禁止し、弾圧を行いました。

信者たちは迫害を逃れるため、「南無阿弥陀仏」を「モーダナンマイトー」と言い換え、密かに念仏を唱えるようになり、「かくれ念仏」とも呼ばれるようになりました。

また、村上天皇の治世中に疫病が再び流行した際、空也上人は病人に梅と昆布の入ったお茶を提供し、念仏を唱えて疫病を鎮める手助けをしました。

この行いが評価され、村上天皇もお正月にこのお茶を飲む習慣を取り入れ、やがては庶民の間にも広まりました。

このお茶は現在「大福茶」として知られ、京都で年始に無病息災を祈りながら飲まれています。

空也上人は、念仏の普及だけでなく、貧困や疫病に苦しむ人々を助け、井戸の掘削、橋の建設、道の整備、寺院の建立など、多岐にわたる社会事業にも尽力しました。

また、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざは、空也上人が詠んだ次の和歌に由来します。

『山川の末に流るる橡殻も 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』

この歌は、山あいの川を流れるトチの実が川に身を任せたことで広い下流に到達し、結果的に浮かび上がることができたという意味を持ちます。

これは、「大きな犠牲や努力を払うことで初めて成功が得られる」という教えを示しています。

なぜ空也上人の像から6体の仏像が現れるのか?

空也上人の口から現れる6体の仏像は、彼が「南無阿弥陀仏」と唱えるたびに、それぞれの音が阿弥陀如来の姿に変わるという伝説を形にしたものです。

この表現は、空也上人が念仏を広める姿を象徴しています。

空也上人の像はどこで見ることができるのか?

この像は、京都市東山区にある真言宗智山派の寺院、六波羅蜜寺に設置されています。

六波羅蜜寺は空也上人自身が951年に創建した場所で、彼の教えが今も息づいています。

この寺院内の文化財収蔵庫「令和館」で空也上人の像を見ることができます。

令和館は8時30分から16時45分まで開館しており、最終入館は16時30分です。

入館料は大人600円、大学生・高校生・中学生500円、小学生400円となっています。

さらに、六波羅蜜寺では年末に「空也踊躍念仏」が行われ、これは重要無形民俗文化財に指定されています。

空也上人の仏教教義を広めた方法を理解するためにも、この像は非常に象徴的です。

京都を訪れる際はぜひ六波羅蜜寺を訪れ、空也上人の深い教えに触れてみてください。

タイトルとURLをコピーしました